算出方法とデータ仕様
POML Chartでは、結果だけでなく「何を使い、どう計算し、どこに限界があるか」を確認できることを重視しています。このページは公開画面の数値を読み解くための仕様説明です。
目次Market Index
Market Index #
Methodology 2.7Base 1000Equal Weight
基本方式
各指数は、設定された構成銘柄の価格変化を均等加重で組み合わせて指数化します。日次では各取引日に均等配分へリセットする方式です。日中足はその日の始値時点の均等ウエイトを維持し、15分ごとの再均等化は行いません。
指数の基準値は1000です。価格は株式分割等を調整するsplit-onlyの価格指数として扱い、現金配当は指数リターンへ含めません。ベンチマークとの比較も価格指数ベースです。
データcoverage
その日に有効な構成銘柄のうち、利用可能な価格データが75%未満の場合、その指数値は算出しません。90%未満では品質状態をPARTIAL相当として扱う場合があります。
テーマ指数
4つのサブテーマから各5銘柄を選ぶ20銘柄型テーマでは、各サブテーマ25%、各構成銘柄5%を基本配分とします。構成の類似度は、銘柄重複率と252取引日リターン相関を組み合わせて監視します。
LONGEVITY 20 / SURVIVOR 20
Research Index 1.2Daily OnlyLow-Frequency Archive
耐久カテゴリは、通常の3時間更新で全履歴を取り直さず、候補銘柄の長期日足を低頻度でSQLiteへ保存して共有します。各市場の候補はこの版では最大30銘柄、archive bootstrapは既定24時間に1回・各市場最大5銘柄です。一度取得した古い日足は通常の日足retentionから保護し、その後は通常の短い差分更新で末尾を補います。
LONGEVITY 20は、候補30社内で「創業・企業起源の古さ」と「上場歴」をそれぞれパーセンタイル化し、65% : 35%で合成します。上場歴15年以上を必須とし、確認済み上場日がある場合はそれを優先、未確認の場合は取得できた最古の日足を代理値として明示します。企業起源年は前身企業の起源を採用する場合があり、法的設立日と同義とは限りません。
SURVIVOR 20は、長期履歴年数、ITバブル崩壊・世界金融危機・コロナショック・2022年金利ショック等での最大下落、危機前水準への回復速度、長期ボラティリティを合成した価格レジリエンス研究指数です。創業・企業起源メタデータとは独立して算出し、LONGEVITYのメタデータ不足でSURVIVORを巻き添えにしません。Yahooの財務APIを全上場企業へ総当たりする方法は採用しません。
研究指数は日足・週足・月足のみを対象とし、15分足・1時間足用の追加取得を行いません。各指数で20社が揃わない場合はその指数だけを公開しないfail-closed方式です。ただし耐久カテゴリとLONGEVITY / SURVIVORの入口は常時表示し、準備中件数を示します。
時間足
| 表示 | 生成方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 15分 | 取得可能な日中データ | 存在しない場合に日次を短期足として偽装しません |
| 1時間 | 15分指数をセッション考慮で再集約 | 日次からの擬似生成はしません |
| 1日 | 日次価格から算出 | 同期した始値・終値のみでendpoint-envelopeローソク足を生成。構成銘柄の非同期高値・安値は混ぜません |
| 1週 / 1月 | 日次endpoint-envelopeを期間集約 | 週・月の始値/終値と、その期間の指数endpoint envelopeを使用 |
GLOBAL / JAPAN FLOW SCORE #
GLOBAL_FLOW V1.1JAPAN_FLOW V1.0-100 ~ +100Public Data
単位や頻度の違う公開統計を、その系列自身の過去分布に対する標準化値へ変換し、方向と重みを設定して合成します。GLOBALとJAPANは別スコアで、JAPANの追加によってGLOBALの算式・weightは変更しません。
GLOBAL FLOWの構成
| 系列 | Provider | 重み | Risk-On方向 |
|---|---|---|---|
| S&P 500 Leveraged Funds Net | CFTC | 15% | 増加 |
| Nasdaq Leveraged Funds Net | CFTC | 10% | 増加 |
| Gold Money Manager Net | CFTC | 10% | 減少 |
| 海外投資家の日本株ネット | 財務省 | 15% | 増加 |
| 国内投資家の外国株ネット | 財務省 | 10% | 増加 |
| 外国投資家の米国株ネット | 米財務省 TIC | 15% | 増加 |
| 外国投資家の米国債ネット | 米財務省 TIC | 10% | 減少 |
| 非米国向けUSD信用 | BIS | 15% | 増加率 |
GLOBAL FLOWは少なくとも3系列、設定weightの60%以上、かつ3 Provider以上を必要とします。欠損系列のweightは残りへ再配分しません。
Risk-On / Risk-Offは「安全 / 危険」ではなく、市場参加者のリスク選好の方向を表します。Risk-Onが強すぎれば過熱・混雑の可能性はありますが、それ自体を危険判定にはしません。Risk-Offも市場ストレス時に強くなり得るため、赤/緑の交通信号型配色は使用せず方向性を中立色で表示します。
JAPAN FLOWの構成
| 系列 | Provider | 重み | Japan Inflow方向 |
|---|---|---|---|
| 海外 → 日本株 Net | 財務省 | 30% | 増加 |
| 海外 → 日本中長期債 Net | 財務省 | 10% | 増加 |
| 日経平均 レバレッジド・マネー Net | CFTC | 25% | 増加 |
| 日本円 レバレッジド・マネー Net | CFTC | 10% | 増加 |
| 国内 → 海外株 Net | 財務省 | 15% | 減少 |
| 国内 → 海外中長期債 Net | 財務省 | 10% | 減少 |
JAPAN FLOWは日本向け/日本離れの資金圧力を可視化する合成指標です。少なくとも3系列、設定weightの60%以上、かつ2 Provider以上を必要とします。プラスはJapan Inflow方向、マイナスはJapan Outflow方向で、安全度・投資判断を直接示しません。
標準化
各系列はfrequencyごとのrolling windowで平均と標準偏差を計算し、最新値のz-scoreを求めます。GLOBAL FLOW構成中のBIS GLI系列は水準ではなく直近変化のz-scoreを使います。極端な一系列がScore全体を支配しないよう、合成時の指標値を -3 ~ +3 に制限します。
score = clamp((Σ contribution / 全設定weight) ÷ 3 × 100, -100, +100)
欠損した構成要素の重みを残った系列へ再配分しません。欠損分は実質ゼロ寄与となるため、少数系列だけでScoreが±100へ膨張しにくい設計です。
rolling windowと公表ラグ
| 頻度 | rolling | 最低件数 | 再構築で使う公表ラグ |
|---|---|---|---|
| 週次 | 104期 | 8期 | 7日 |
| 月次 | 60期 | 12期 | 50日 |
| 四半期 | 20期 | 8期 | 125日 |
実際の公表日時が保存されている場合はその日時を優先します。明示的な公表日時がない古いデータではfrequencyごとの保守的なlagを使います。財務省の居住者による対外証券投資Netは、2014年1月の公表定義変更をまたいでも「正=取得超/海外向け」の意味になるよう過去分を正規化します。
Scoreラベル
GLOBALはExtreme Risk-OnからExtreme Risk-Off、JAPANはStrong Japan InflowからStrong Japan Outflowまで同じ閾値帯を使います。ラベルは方向の説明であり、危険度ランクではありません。
JPY CONDITIONS
JPY CONDITIONS V1.0BIS REERBIS USD/JPY
JPY VALUATIONはBISの日本円Broad実質実効為替レート(REER)を、その系列自身の長期履歴と比較した相対水準です。REERが高いほど実質的な円高方向ですが、指数の100自体を「適正価値」とは扱いません。最大360か月を使い、長期中央値からのz-scoreと履歴percentileを組み合わせて -100~+100へ正規化します。マイナス側ほど歴史的に割安、プラス側ほど歴史的に割高です。
JPY MOMENTUMはBISのUSD/JPY日次系列を使い、5・20・60・120取引観測の変化を日次ボラティリティで調整して合成します。USD/JPYは「1 USDあたり何円」なので、上昇は円安、低下は円高です。内部計算では符号を反転し、+100側を円高方向、-100側を円安方向に統一します。
JPY MOMENTUM = weighted z(5d,20d,60d,120d) → -100 ... +100
FX HEDGE BIASは0~100の参考度で、JPY VALUATIONを65%、JPY MOMENTUMを35%としてVALUATIONを優先します。0-19はNONE、20-39はLOW、40-69はPARTIAL、70-100はHIGHです。これは外国資産の売買シグナルでも、100%為替ヘッジの推奨でもありません。金利差・実際のヘッジコスト補正と、外国株/外国債券の別スコアは将来追加できる予約構造にしています。
ASSET BIASはGLOBAL/JAPAN FLOWとJPY CONDITIONSを横並びで読むための補助表示です。GLOBAL EQUITY / JAPAN EQUITYはSUPPORTIVE・NEUTRAL・CAUTIOUS、JPYはUNDERVALUED・FAIR・OVERVALUED、FX HEDGEはFX HEDGE BIASを表示し、画面上では各英語ラベルの下に日本語の短い意味も併記します。外国債券は専用の配分シグナルをまだ算出していないため、根拠なくNEUTRALとせずNO DIRECT SIGNALとします。BUY / SELLの売買判断ではありません。
REERの履歴再構築では公表前情報を使わないため、明示的な公表日時がない過去データには保守的な公表ラグを適用します。現在表示は実際に取得できた公開値のみを使い、取得失敗時にダミー値や偽の最新値へ置き換えません。
MARKET DECISION
Decision Support V1.1No BUY / SELLFail Closed
MARKET DECISIONは既存のGLOBAL / JAPAN FLOW、JPY CONDITIONS、ASSET BIASを変更せず、その上に判断境界・指標間の矛盾・前回観測との差・情報鮮度を表示する補助レイヤーです。将来価格の確率や「今買う / 売る」を出す機能ではありません。
THESIS BREAKER
現在のASSET BIASやFX HEDGE BIASが、既存の判定ロジック上でどの値を越えると別ラベルへ移るかを表示します。たとえばGLOBAL EQUITYがSUPPORTIVEなら、現在のGLOBAL FLOWからSUPPORTIVE解除境界までの距離を示します。これは将来値の予測ではなく、decision boundary / distance to boundaryの表示です。
SIGNAL CONFLICT
GLOBAL FLOW、JAPAN FLOW、USD流動性、株式ポジショニング、クロスボーダー株式フローなど、現在取得できるsignalを -1~+1へ正規化し、同じ方向を向いているかを0~100で表します。最低3 signalかつ設定weightの50%以上が必要です。JPY MOMENTUMは為替文脈として表示しますが、円高・円安を一律にRisk-On / Risk-Offへ対応させる根拠がないためConflict Scoreには入れません。
weighted dispersionは -1~+1 内のweighted mean absolute deviationを0~1として扱い、+1と-1が完全に拮抗する最大分離では1.0になります。複数系列を平均するsignalは、取得できた系列比率をeffective weightへ反映し、画面のweight shareは設定weightを全signal合計で正規化した比率です。signalがすべて0付近のときは、方向が弱いだけで「強い矛盾」と誤判定しないようstrength gateを掛けます。GLOBAL/JAPANのheadlineと一部の下位signalには情報の重なりがあるため、このScoreは独立事象の確率ではなく整合性チェックとして扱います。
DECISION DELTA
単純な「昨日」ではなく、保存済みのprevious observed snapshotと現在を比較します。GLOBAL/JAPAN FLOWのScore差に加え、各componentが何score point変化へ寄与したかを表示します。前回観測が無い場合は0に偽装せずNO PREVIOUS OBSERVATIONとします。未来日付のsnapshotは比較対象から除外します。
INFORMATION QUALITY
Observation date、Publication date、Ingested dateを分離し、公表からの経過日数をその系列の通常更新間隔で割ってFreshness 0~100へ変換します。通常更新間隔以内は100、1~2倍で100→40、2~3倍で40→0、それ以上は0です。公表日が保存されていない場合は設定されたrelease lagを使いますが、既に取得済みなのに推定公表日だけが未来になる場合はingest日を上限とし、推定であることをsourceで明示します。
FRESH DATA ONLYはFreshness 70以上の系列だけで既存Score式を再計算し、ALL DATAとの差を見せます。STALE DATA DEPENDENCYは現在Scoreで有効なweightのうちFreshness 70未満に依存する割合です。Revision Riskはproviderごとの根拠をconfigへ明示した場合だけLOW / MEDIUM / HIGHを出し、根拠がない場合はUNKNOWNです。
WATCH NEXT
THESIS BREAKER、DECISION DELTA、SIGNAL CONFLICT、INFORMATION QUALITYを別々に評価し、次に確認すべき観測点を最大4件までpriority順にまとめます。GLOBAL EQUITYの判定境界が近い場合、前回観測から大きく寄与が変わった要因、Conflictが高い場合の対立signal、現在Scoreへ使われている系列の鮮度低下を候補にします。priorityは現在状態からの監視優先度であり、将来価格の確率・上昇余地・売買推奨ではありません。評価に必要な観測が全て不足している場合はQUIETとせず、INSUFFICIENT DATA / WAIT FOR DATAとして区別します。
履歴とpoint-in-time #
Market Index
2026年9月5日以降は、構成変更を履歴として保存し、その時点で有効な構成を使って計算します。構成変更を検出した場合は次の取引日から有効とし、未知の過去期間を未来の構成銘柄で埋めません。
正式な構成履歴を保存する以前の期間は、完全なpoint-in-time再現ができないためBACKTESTとして区別します。
LONGEVITY 20 / SURVIVOR 20は研究指数として別扱いです。初回20社が成立した次の取引日からライブ構成履歴を開始し、それ以前を未来の構成で正式履歴扱いしません。ライブ以前の参考系列はSURVIVORSHIP-BIASED BACKTESTです。
GLOBAL / JAPAN MONEY FLOW
GLOBALとJAPANのScore履歴は最大20年を再構築対象とします。ただし実際にどこまで遡れるかは各Providerの保存済み履歴と必要系列のcoverageに依存します。サービス運用中に実際に計算して保存した値をOBSERVED、それ以前を公表lagを考慮して再計算した値をRECONSTRUCTEDとして区別し、同じ日付ならOBSERVEDを優先します。
日本の長期参考系列 1988年~
バブル期まで現在のJAPAN FLOW SCOREを遡及して作ったことにはしません。別系列として、財務省の公式歴史年次表による1988~2001年と、現在の指定報告機関ベース週次統計を株式+中長期債で年次集計した2005年以降を表示します。値は「対内Net - 対外Net」で、正は日本向け超過、負は海外向け超過です。
2002-2004は旧統計と現行統計が方法論的に連続しないため線を接続しません。1989年のバブル期、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック / 世界金融危機、2020年のCOVID-19をチャート上の参照イベントとして表示します。
品質管理と更新 #
市場データとMoney Flowは、それぞれ取得エラー、鮮度、coverage、DB整合性を分けて監視します。一時的なネットワーク障害が起きても、保存済みデータがまだ有効期間内なら、通信エラーだけを理由に直ちにScore計算から除外しません。
Market Indexの公開データはgeneration単位で作成し、manifestを最後に更新する方式です。Money Flowの履歴DBはintegrity checkと世代バックアップを行い、壊れたDBを自動的に空データへ置き換えない設計です。
算式やweightなどScoreの意味を変える設定を変更する場合は、methodology versionの更新を必須とし、同じversion名の中に異なる計算ロジックが混ざることを防ぎます。
利用上の注意 #
POML Chartの指数、統計加工値、チャートは情報提供・研究・可視化を目的とした参考情報です。投資助言・投資勧誘、特定の金融商品の購入・売却・保有その他の取引を推奨するものではなく、掲載情報の正確性・完全性や将来の価格、景気、金利、為替、運用成果を保証または予測するものではありません。
重要な判断では一次情報も確認し、最終的な判断は利用者ご自身で行ってください。元データの権利・利用条件は各提供元に帰属します。公開画面のSources / License欄でも参照先を確認できます。